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技術情報

​ 接触角の解析方法

  水滴の形状から接触角を算定する方法は複数あります
​  弊社で使用している接触角計(KRUSS DSA25S)に搭載されている
 解析法を例に紹介します
  メーカーによって解析方法の呼び名が違っていることがあります
 ので、ご注意ください  
(以下の写真は同じ水滴写真を各種方法で解析した結果です)


 1/2θ法 (または θ/2法    Height/Width法)
  最も多く使われている解析方法です
  1/2θ法は水滴の幅と高さの寸法比から求める方法で
 古くから一般的に使用されている解析方法です
  水滴画像の縦横の寸法を測り、θ=2arctan h/r の公式に
 より、算出できます

 EXCELなど表計算ソフトで計算させる場合は

 例) 
A1…水滴の接地幅  B1…水滴の高さ  C1…接触角(°) とすると
    C1に入力する計算式は
 =DEGREES(2*ATAN(B1/(A1/2))) となります
​ (注意:接触角90°以上は正しい数値を表示できません  EXCEL以外の場合は関数コマンドを確認・書き換えてください)

  水滴の断面を正円の一部分と仮定して、素材との角度を算出しているため、重力による誤差や
​ 左右の角度の違いには対応していません。
​  また、90°を超える接触角は測定出来ないため、PTFE(テフロン)などの高撥水素材や油膜が残る
 金属などは測定が難しいです
  代表的な解析方法ですが、重力などを考慮した解析方法に比べると小さめの値になります


 Tangent法   以下の解析方法は水滴輪郭をトレースする必要があるため接触角計が必要です)
  水滴の輪郭をトレースして頂点から左右個別に円の
 一部分と仮定して解析する方法です
  左右の接触角を別々に表示できるため、プラズマ効果
 のムラやイレギュラーな計測値を判別できます
​  1/2θ法を基本としていますので、重力の影響は考慮
​ されておらず、小さめの値が出ます


 Young Laplace法 
  水滴の輪郭をトレースして楕円の一部分と仮定して解析
 する方法です
  重力によって頂上部が低くなる誤差に対応していますが、
​ 左右の接触角の違いには対応していません
  重力の影響を補正していますので、1/2θ法より大きめの

 計測値となります

 Circle法 
  水滴の輪郭をトレースして輪郭座標点を通る仮想円と
 して解析します
  実質1/2θ法との違いは無さそうです
  1/2θ法よりさらに小さな数値が出る傾向があります

 Ellipse(Tangent-1)法   アクア採用解析法
  CRUSS社の接触角計で標準となっている解析法です
  水滴の輪郭をトレースして左右別々の楕円の一部分と
 して解析する方法です
​  重力やプラズマ処理のムラなどにも対応しています
​  今回紹介した解析方法では最も正確な数値が期待できます
  他の解析方法と比較して1~5°大きめの数値が出る傾向
​ があります
 通常は左右の接触角の平均値を測定値としますが、左右
の数値差が大きい場合は、素材表面の汚れや
 表面の荒れ(細かな凹凸やコーティングのムラ)などの可能性
​がありますので、再測定を行う目安に
​ なります
​  弊社では正確な数値解析のため、Ellipse(Tangent-1)法を採用しています
  
(従って、他社の資料などに記載されているプラズマ処理後の接触角数値より大きな値になっている場合がございます)

20250314_172225_edited.jpg
Height_Width.jpg

1/2θ法

Tangent.jpg

1/2θ法

Young_Laplase.jpg

Young Laplace法

Circle.jpg

Circle法

Ellipse_Tangent-1.jpg

Ellipse(Tangent-1)法

​接触角

  大気圧プラズマ効果の強さを判断する目安に最も多く使われている検査
 方法です
  対象素材の表面に水滴を落とし、素材との接点の角度を計測します
​  数値が小さいほど、親水化(水の馴染みが良くなる)しています
  水滴が大きいと、重力の影響で頂上部が凹んだり、形状が歪になり、測定値
 の誤差が大きくなるため、できるだけ小さな水滴で計測する必要があります
  また、毎回同じ液量で計測しなければ、誤差が大きくなります
  正確な計測には接触角計などの計測器が必要です
​  接触角計を使用することにより、容易に接触角の計測ができるとともに、
 2種類の試薬による接触角を計測することで、素材の表面自由エネルギー
 解析なども可能になります

  高価な接触角計を使わずに計測する方法としては、注射器(できればマイ
 クロピペット)でできるだけ小さな水滴を作り、水平方向から写真撮影を行
 い、水滴の幅と高さ寸法の比率から接触角を求める方法があります

  溶液やペンタイプの試薬で計測する方法(dyne値計測)もありますが、
 作業者の経験値や素材と試薬の相性などで誤差が大きくなることがあります


< 注意 >
   接触角の変化は大気圧プラズマ処理などによる素材表面に付着する有機物除去・水酸基の加飾・
  素材表面分子構造の変化・活性化などにより、水の馴染みが良くなる現象です

   水以外の薬剤、接着剤や塗料、油などの馴染みは、水での結果とは異なります
   素材との組合せによっては、プラズマ照射によって弾いてしまうような逆の反応が起こることも
  あります (素材の表面自由エネルギーと液体の表面張力とのバランスによる違いと言われています)

​   大気圧プラズマの採用を検討頂く際には、親水性の評価だけではなく、実際の処理にて確認頂け
  ますようお願い致します

A5052_右半分プラズマ照射min.jpg
接触角_未処理.jpg
接触角_プラズマ照射後.jpg

撥水

​親水

撥水   親水

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